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日別アーカイブ: 2025年9月17日

第17回機械器具設置工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社サンゴウ、更新担当の中西です。

 

~変遷~

 

1|創成期:人力中心と職人技の時代(〜1970年代)

製造業の拡大とともに、工場内のプレス・ロール・コンプレッサ・ポンプなど重量物を据付・芯出しする専門職が確立。

  • 揚重:チェーンブロック・ガントリー、手動ジャッキ、レール滑走など人力+簡易機械。

  • 芯出し:水盛り・下げ振り・光学レベル。

  • 基礎:鋼ベースプレート+セメント系グラウト、埋込アンカー。

  • 管理段取りと職人の勘が品質を左右。図面は2D、改造は現場合わせが基本。


2|高度経済成長:機械化と標準化の始動(1970〜1980年代)

大型クレーン・フォークリフトが現場に普及し、重量物の短時間搬入が可能に。自動車・紙パ・化学・発電などのライン拡張で案件が増加。

  • 機械化:ラフテレーンクレーン、門型クレーン、油圧ジャッキ。

  • 据付精度:トランシット・シアリングで水平・直角を安定確保。

  • 材料・工法:無収縮グラウト、ケミカルアンカーの一般化。

  • 安全:労安法・クレーン規則整備、玉掛・合図の標準手順が定着。


3|バブル〜国際化:品質マネジメントの定着(1990年代)

海外プラント建設・既存工場のリプレースが増え、**“決められた品質を再現する”**時代へ。

  • 品質:ISO9001/14001、溶接・ボルトトルクのトレーサビリティ。

  • 精密化レーザーアライメント、レベルベース調整ボルト法、振動・防振設計。

  • バリデーション:医薬GMP、食品HACCP対応、FAT/SAT(出荷前/現地立上げ試験)が標準化。

  • 安全文化:リスクアセスメント・KY(危険予知)・作業計画書の書面化が当たり前に。


4|プレファブ&短工期:“夜間一発仕上げ”の運用工学(2000〜2010年代)

生産を止められない現場が増え、シャットダウン短縮が至上命題に。

  • ユニット化:スキッド(ベースフレーム一体)・配管ラックのプレファブ搬入。

  • 干渉対策:3D-CADで干渉チェック、事前モックアップ。

  • 物流:狭小・都市部への夜間搬入、ルート選定と道路占用の高度化。

  • コミッショニング:試運転チェックリスト、I/Oチェック、引渡し後の安定化までがスコープに。


5|DX:BIM/CIM・スキャン・デジタルツインの実戦投入(2010年代〜)

“勘と経験”にデジタルが乗り、計画精度とトレーサビリティが飛躍。

  • BIM/CIM:設備・建築・電気配管を一気通貫で可視化、吊り回しや据付姿勢を事前検証。

  • 3Dスキャン:点群でAs-Isを取得→据付前の基礎誤差を把握、干渉ゼロへ。

  • AR/タブレット:墨出し・設置位置を現場で重畳表示、手戻りを最小化

  • e-PTW(電子作業許可)、デジタル日報、クラウド写真で証跡管理が容易に。


6|2020年代:レジリエンスと脱炭素、メガプロジェクトの波 🌍

パンデミックやサプライチェーン攪乱を経て、遠隔FAT・オンライン立会が一般化。脱炭素投資で電池・半導体・再エネ・データセンター等の大型案件が増加。

  • 環境:LCA/カーボンフットプリントを意識した施工(電動搬送、再利用梱包、残材最小)。

  • 安全×省人:人荷分離、接近警報、ウェアラブルカメラ、遠隔支援で技能の底上げ。

  • レジリエンス:多拠点調達、モジュール化で工期とリスクを分散


7|タイムラインで一気に把握 ⏱️

  • 〜1970s:人力+簡易機械/職人技と現場合わせ

  • 1970–80s:クレーン普及・無収縮グラウト/標準化の始動

  • 1990s:ISO・GMP・FAT/SAT/レーザーアライメント

  • 2000–10s:プレファブ化・夜間短工期/3D干渉チェック

  • 2010s–:BIM/CIM・点群・デジタル証跡/予防保全志向

  • 2020s–:脱炭素・遠隔立会・メガプロジェクト/レジリエンス設計


8|“いま”の現場を強くするキーワード 💡

  1. Alignment First:レベル・芯出し・振れの初期精度が全て。

  2. 3D吊り計画:重心・作業半径・回転クリアランスを数値と可視化で合意。

  3. ジャッキボルト+グラウトSOP:締付→仮固定→流し→再締付の手順を標準化。

  4. インターフェース管理:土建・電計・配管・搬送の境界を見える化

  5. コミッショニング準備率:ケーブルタグ・I/O表・油脂類・消耗品の事前充足KPIで初回起動を成功に。


9|これからの展望 🚀

  • ロボティクス×据付:自動墨出し、ボルト締結ロボ、外観検査ドローン。

  • デジタルツイン活用:据付後の振動・温度・電力を常時計測し、予兆保全まで一気通貫。

  • グリーン施工の標準化:再エネ仮設電源、電動クレーン・AGV、低炭素グラウト。

  • 人材の多能工化:据付+配管+電計+コミッショニングを横断する**“現場フルスタック”**へ。

  • 国際規格対応:CE/UL/機械指令・ATEX等、グローバル適合が新常識。


まとめ ✨

業用(産業用)機械設置工事業は、
職人技の時代 → 機械化・標準化 → 品質マネジメント → プレファブ短工期 → DX・デジタル証跡 → 脱炭素とレジリエンス
という階段を上り続けてきました。
目的は一貫して**「安全に、正確に、速く、立ち上げる」**。
これからは、データとモジュールと人の熟練を掛け合わせ、初回起動から安定稼働までを一体で設計・実行できる企業が選ばれていくはずです。

 


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